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伝統的工芸品・駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)

日本の伝統工芸

駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)は400年以上の歴史を持ち、1976年(昭和51年)に国より指定を受けた伝統的工芸品のひとつです。
そのルーツはもともと駿河の地が竹の生育に適した土壌・環境であったこと、そして駿河に移り住んだ徳川家康公の趣味である『鷹狩り』で一役有名となり、その竹細工の素晴らしさが世に広まったと言われています。
現在に伝わる素晴らしい手仕事、そしてその魅力について紹介いたします。

駿河竹千筋細工とは

その名の由来は、畳の横幅3尺(約90㎝)に並べて千本のひごが並ぶといわれる細かい筋の丸ひご「千筋細工」からきています。駿河の竹細工において最大の特徴は「丸く削った竹ひご」です。ひとつひとつ手間をかけて丸ひごに仕上げて使用するのは、籠に納める鳥や虫の羽を傷つけないようにという心遣いから生まれたものと言われています。

特徴について

丸ひごで作る繊細な工芸品

駿河竹千筋細工 大和虫籠

一般的に竹細工といえば京都や別府などがよく知られていますが、ほとんどが竹(平ひご)を編むようなスタイルです。静岡の竹細工は枠に穴をあけて細い竹ひごを差してつくる全くの別物です。
ざるなど緑の竹のまま編まれているものは消耗品として作られているもの。駿河の竹細工は年を経るごとに美しさが増していく、素材の風情を楽しめる工芸品です。

材は駿河、または静岡県産の竹

駿河平竹林のイメージ

静岡県中部は温暖な気候で良質な竹を産出する土壌に恵まれており、登呂遺跡からざるや籠が出土されるなど、早くから竹細工が暮らしに根付いていました。
駿河の竹細工の名声が広まったのは江戸時代頃。その頃から変わらぬ家内工業というスタイルを貫いており、地元で竹を育て伐採し、職人たち自ら竹細工のための材料を作ります。
巷に広く流通しているような海外産の竹ではなく、地元で育てた駿河産の竹を用いて作品を仕上げる、それが駿河竹千筋細工です。

竹細工の歴史について

江戸初期に徳川家康公が将軍職を退いたのちに駿府を居城としたことで学者・商人が移り住み、駿河の町はどんどん賑わっていきました。

駿河の竹細工が世に知れ渡ったのは大好きな鷹狩りをするために家康公が鷹匠同心に餌かごを作らせたこと、また同じ頃に江戸城で催された花見で天海大僧正が昼寝に使った籠枕が、参勤交代で東海道を行き交う武士たちの人気を得ていたことも伝えられています。

徳川家康と鷹狩り
駿府城公園 徳川家康公銅像

当時は「孝行を するが第一 竹細工」という言い回しが広がるほど、駿河の竹細工の名声が知られていました。小刀を使う武士の内職として、編み笠や籠幕、虫かごづくりとして受け継がれていったのです。

現在にも続く丸ひごを使うという繊細な技は華道や茶道、機織に秀でたという岡崎藩士・菅原一我(すがわらいちが)により伝えられたものといわれています。

その後、明治6年のウィーン国際博覧会では日本の特産品として出品され好評を博し、明治から大正にかけてヨーロッパ、敗戦後には米国へと広く輸出されました。

竹細工でにぎわう駿河の町大日本物産圖會より
国立国会図書館蔵書 大日本物産圖會より

駿河竹千筋細工の工程

昔とほとんど変わらぬ家内工業のスタイルで、材から製品まで一貫して職人が仕上げています。

材の準備

竹の伐採

駿河竹千筋細工には主に真竹(マダケ)・淡竹(ハチク)・孟宗竹(モウソウチク)など、発育して3~4年経った竹を使用します。
年に一度、竹に水分が最も少なくなる冬場に伐採し、切り出した竹は一定の長さに切り揃えて節を削り取って煮沸の準備をします。

油抜き

生竹には水分・油が含まれており、切ったままでは腐ってしまうため1週間以内に油抜きを行います。
苛性ソーダの入った湯釜に竹をいれて沸騰させ、表面の汚れやヤニをきれいに落としていきます。15分程茹で、風通しのよい山頂で約1か月程天日干しをします。

乾燥

天日干しした竹の表皮が美しい象牙色になると乾燥した合図。工房へ運び、そこからさらに天井で1-2年寝かせ、完全に乾燥させます。

丸ひご作り

割り・へぎ・厚み決め

竹の表皮を小刀で削ってなたで縦に竹を割り、1センチ程の幅にします(割り)。竹の内側の柔らかい部分を切り落とし、丈夫な部分を残していきます(へぎ)。剪台(せんだい)という道具を使って竹の内側を均一に削り、厚さを決め込んでいきます(厚み決め)。

小割入れ・くじき

竹の繊維を壊さないように筋を入れ(小割入れ)、竹を手に取り右に左にと手で曲げて竹を末端まで割りさいていきます(くじき)。しなりが強く丈夫な日本の竹だからこそできる、千筋細工の独特の技法です。

先付け・ひご引き

先付けはひごを引くために行う先端を細くする準備作業で、先付けの出来がひごの仕上がりを左右します。その後、荒引き → 中引き → 仕上げ引きと順番に刃のある小さな穴へと通してひごを引いていくと、角のとれた丸く細いひごができあがります。

枠作り

寸法取りし、幅決め・厚み決め・節落としの工程を経てできた竹材を用いて枠を作ります。

墨付け・目盛入れ

13-15枚の材をを墨付けばさみで挟み、細工に必要な印を効率よくつけていきます(墨付け)。ひごを差すための印づけも仕上がりを美しくするための大事な作業です(目盛入れ)。

輪作り(丸曲げ)

ヒーターで加熱した胴乱(どうらん)に材を巻いて成形します。温度が下がると丸く固まる仕組みで、熱さや巻きつける時間の加減は職人の勘による職人技です。

継手切り・つなぎ

輪の形ができたらつなぐために竹の両端に斜めの切りこみをいれます(継手切り)。接着剤をつけて両端をはさみで挟み、乾燥させて固めます(継手つなぎ)。こうしてでき上がった輪はつなぎ目が分からない程の仕上がりになります。

枠穴あけ

大変神経を使う作業で、ひごの太さで1ミリ1ミリ大きさを変えています。規則正しく穴をあけることはもちろん、ひごを差す角度に合わせて穴の角度もひとつひとつ微妙に変えながら開けていきます。組み立てに大きくかかわる大事な工程です。

仕上げ

組み立て・磨き仕上げ

ひとつひとつ、ひごを穴に差して枠をはめて仕上げます(組み立て)。輪の部分はろくろにかけ、バリがないよう滑らかに磨き仕上げを行います。年月を経るごとに色つやが増し、末永く楽しむことができる竹細工です。

香飾り用の筒を作ってもらいました

今回、みやび行燈製作所さんに香飾り用の細工筒を仕立ていただきました。筒を構成する約1ミリ径の丸ひごはすべて一本ずつ手で削って作られたとは思えないくらい整っていて、まさに職人の手仕事です。
均一で繊細な美しさを持ちながらがっちりと組み立てられており、末長くお使いいただける丈夫な作りとなっています。手にとって触っていただくだけでその丈夫さはすぐにお分かりいただけると思います。

香飾りの天地・中間の輪部分は竹を輪切りしたものではなく輪作りで曲げて作られた材を使われているので、自然材に特有の乾燥による割れなどの心配はありません。こちらもひとつひとつ手仕事で作られているものです。
輪に着目すると竹の繊維が横に走っており、つなげて作られた材ということがよくわかります。

丸ひごを通す穴もひごに合ったサイズの穴をひとつひとつあけて組み立てており、千筋細工の丈夫さにもつながっています。色は経年変化が楽しめるよう、油抜きしたそのままの象牙色としてもらいました。
駿河竹千筋細工の美しさと共に、香りも一緒に楽しめる身近なインテリアとしてお使いいただけたら幸いです。

みやび行燈製作所謹製 駿河竹千筋細工 香飾り筒
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香源謹製 匂い袋・金襴

香源 香飾り 筒型格子
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香源 香飾り 筒型矢来格子
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関連リンク/ご協力

みやび行燈製作所 https://miyabiandon.com/

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